海風號の新着茶器2008年夏

Ganreicha
海風號「武夷正岩茶」の冷茶。ビールのようにゴクゴクいける。

今年は夏の大茶会が無い。で、設楽さんと「海風號で『夏の小茶会』とかいって、少人数のフリマ茶会でもやりましょうか」とか話していたのだけど、そんなバカ話以上に律義な設楽さん、例年通り北京に買い付けに行って、本来なら夏の大茶会用だったはずの、茶壺やら茶杯やらを持って帰ってきてくれた。で、セールもやるそうだ。正に夏の小茶会。俺がフリマ茶会とかやるより全然いい。

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で、上の写真は、そんな新着茶壺の一つ。縦長い竹をイメージしたような茶壺で、写真だとやや形が歪んでるけど、実際はほぼ円筒に近い、真直ぐした形状。サイズも100ccと小振り。この手の細長い円筒状の茶壺は、実はお茶を美味しく淹れるのが難しい。上手く茶葉が回らないのか、どうしても薄く入る傾向がある。でも、このくらい小さいと大丈夫かもしれない。縦長い茶壺、好きなんだけど難しいから手を出してないけど、これなら、という気がした。これは28000円。セールでいくらになるかは分からない。

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続いて目に留まったのが、これ。これは完全な円筒形。で、やたらと精巧に出来ている。あまりに蓋とかキッチリしているので、「これ凄いですね」と言ったら、「一応、作家物だから」と設楽さん。李建軍という方の作だそうだ。だからといって、その李さんを調べる気さえないあたり、ほんとに作家に興味が無い俺だけど、この茶壺は中々好きだ。ちょっとキッチリし過ぎてる気はするけど、そう思うのが、俺の作家物に興味が薄い原因かもしれない。150ccで38000円。失敗無くお茶が入りそうだ。

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続いて、これ。何か、漢瓦壷の蓋だけ変えたみたいなフォルムだけど、漢瓦壷の漢瓦は、蓋の把手の形のことだから、これは漢瓦壷ではない(どうでもいいことだけど)。結構、キッチリと良い仕事が為された茶壺で、でもそこはかとなく呑気なムードもあって、今回の新着茶壺の中では一番好きかも。土の感じも好きだし。150ccで22000円。結構リーズナブルなような気がする。

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これは、平たい感じで大きめの漢瓦壷。これまで色んな大きめ漢瓦壷があったけど、その中でも一番、作りが丁寧な気がした。我が家にある大漢瓦壷より二回りほど小さくて、容量も300ccくらいだから、完全に実用品。注ぎ口が漢瓦壷にしては、前に出ている形状も、平たさを強調していて好き。価格は35000円。蓋の漢瓦部分が低過ぎる気もするけど、これも平たさの表現の一つと考えれば、その徹底ぶりも愛すべき茶壺だと思う。

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今回の目玉は、この茶壺だそうだ。まあカッコいい。カキッ、シャキッとしていて、注ぎ口の鉄砲口加減が、もうこれ以上無いくらい鉄砲していて、潔さを通り越して何かの原器みたいだ。で、とにかく精密に出来ている。だから多分そうかと思ったら、やはり作家物だ。呉群祥さんという1954年生まれの方。350ccで15万円。多人数のお茶会なんかで使うとカッコよいし、質実剛健な感じが嫌みが無くて良い感じ。

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ついに、設楽さんも満足が行く出来になったという、白磁の漢瓦壷も入荷している。これ、出来が良い。個人的には今までの中で一番好きだ。形が、王暁健の初期型漢瓦壷に似ているのも好きだ。ちょっと肌が白過ぎて青みがかってるのも、ちょっとクールな感じでカッコいい。価格は1万円。これは、初代版を持ってる俺も買っておこうかと思う。

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茶杯で面白いと思ったのは、まず、これ。中国の吉祥紋様を描いた、てのひらにちょうど収まる程度の、いわゆる中茶杯。フォルムがシャキッと立っていて、手に持った時に気持ち良い。通常の藍染め版の他に、緑と赤でクリスマスみたいな感じになってるバージョンもあって、粋とポップが揃っているのも好き。これ、一つ6000円をセール期間中は4000円だそうだ。

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あと、こっちはぐい呑みサイズと言うか、かなり小さい茶杯だけど、蝙蝠模様がちょっとタバコのゴールデンバットを思わせて、かつて愛飲していた身としては、引きつけられずにはいられない。新着の茶杯の中では、これが一番好き。キリリとしたフォルムに、ちょっと間抜けな柄というコントラストがたまらない。これで、酒とか呑みたい。価格は3500円がセール価格3000円。お買い得。

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あと、番外と言うか、限定二個入荷の、銀製の茶匙。柄に「茶一勺」と書かれているから、本当に茶匙として作られたのだと思う。純銀らしい。何か、よく分からない迫力がある。で、とても海風號らしい品だと思う。価格は30000円。早い者勝ち。

というあたりが、今回、俺的に目に付いたもの。茶壺は、多分セールになると少し安くなるのかもしれない(これがセール価格かもしれない、そのへん、何せ今日届いた茶壺なので、まだ設楽さんも決めてないのかもしれない)。そこらは、お店に問い合わせるなり、電脳商城をチェックするなりしてね。と書いてる俺は、最近ますます減ってきた、何と言うこともないけど土のムードの良い80年代くらいの水平壺を一個入手。今回、その手の水平壺はその一個しか無かったみたい。設楽さんも、値上がりが激しいと言ってたし、このレベルの茶器を、このくらいの価格で買えるのは、もう最後になるのかもとか思うと、何かドキドキする。どうなんだろう、実際。

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茶壺の印のこと

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海風號「民国扁吉直壷」

日中は打ち合せか取材で、夜は原稿書いてると、海風號に行く時間もとれない。そんな中、徳間書店(大門)に打ち合せに行ったので、これはラッキーと海風號に寄って、例によってだらだらと設楽さんに淹れていただいた東方美人を飲みながらバカ話。生き返るなあと、思わずぼーっとしてたら、「こんな珍しい印を見つけたんですよ」と、茶壺を見せてもらった。

その茶壺の底にあったのは、茶壺の本「中国明清紫砂精華」(1997年発刊)にも、滅多に見ないと書かれていた「劉海が金銭を戯る」の款。設楽さんも、実物は随分前に一度見たきりだという。何か、前髪立ちの童子が銅銭を投げている、まあ、日本でいえば恵比寿さんみたいなキャラの絵で、中々目出度そうなのだけど、柄自体が複雑なので、あんまり印にはしないようなデザイン。

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「劉海が金銭を戯る」印のアップ
クッキリと、しっかり刻印されていて、しかも、こんな面倒な印で滅多に無くて、つまり偽物を作る意味も無ければ、手間もかかり過ぎる模様で、出来が良いのだから、これは何らかのホンモノなのだと思う。でも、設楽さんは、そこに不要な価値を付ける事なく、珍しいものを見たと喜んでいて、俺も分かるのは、この印が可愛いなあということと、この茶壺が良い感じだなあということだけ。

ただ、印とか落款について、俺はほとんど興味は無いのだ。茶壺を売る側なら、真偽の判別などで印に詳しくなる事も必要かも知れないけれど、俺としては、そんな、何の証明にもならない模様を見て、何かを判断する根拠にする気にはならないのだ。結局のところ、その茶壺を見て、触って、好きか嫌いか、価格は自分が見た目につり合うか、という判断しかしない。で、茶壺はマスプロダクトだと思っているので、作家モノに興味が無い。

だから、印なんて、本当にどうでもいいのだけど、サインとしてではなく、デザインとして見れば、好き嫌いくらいはある。で、この茶壺の印は面白いなと思ったのだ。価値はわからないんだけど。あと、印が好きというだけでは、この茶壺を買おうとは思わないけど、それを見る楽しみは確かにあるなあ、と、この舐めた表情の童子を見て思った。

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茶壺は第一印象と触り心地か

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これ、ほんと美味そう。凄い。

海風號の新着茶壺を見ていて、これは、と思うものには、何となく共通点があるような気がした。まずは、そこから出てくるお茶が美味しそうかどうか。俺が筋文壺とかが嫌いなのは、何か、上手いお茶が出てくるイメージが出来ないからだったりして、それはもしかしたら、俺の想像力の限界なのかもしれないけど、それならそれで、今の俺の身に合ったものが好きということで問題ない。

で、美味そうなお茶が出てきそう(入りそうではなく、出てきそうだというのがポイント)とまず思ったのが、上の写真の茶壺。正真正銘の文革壺だそうだ。何でも、茶壺屋さんがプライベートで使ってたものを強奪してきたそうで、まだ洗い残しの茶葉が残っていた。養壺済みで、そりゃ美味しそうと思ったわけだ。写真より、もう少し平たくて、肌はキレイなチョコレート色。大きさも200mlくらいで、普通に即戦力。いいなあ、好きだなあ。40000円だったと思う。違うかもしれない。要問合せ。



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こういうちょっとざらっとしたのがセクシー

前回のセールでも目をつけてた、この文革壺もやっぱり好きだ。迫力ある土の感じが、美味いよっ、と言ってるみたいで。これも200mlか、もう少し入るくらいで、使いやすいサイズ。しかも、育つのが早そうな土。前に見て良いと思って、今回見てやっぱり良いと思ったので、本当に俺の好みなのだろうと思う。最近好きな水平壺だし。価格は確か35000円。



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一家に一個的な水平壺の名品

これは、ちょっと大きめ(350mlか少し少ないくらい)の水平壺。文革後期のものだそうだけど、土の感じはいわゆる早期壺という奴だと思う。育ちそうで、美味そう。「大きめも水平壺のいい奴って、中々出ないんですよ」と設楽さん。確かに、大きな水平壺は大味なものが多くて、こういう、きちんとしてて美味そうなのは珍しいと思う。というか、前にも書いたけど、良い感じの水平壺って、海風號くらいでしか見ないから、水平壺のファンが少ないのはそのせいではないかとか思う。これは30000円だったと思う。買おうかなあと思っている。



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これは海風號に見に行こう

で、別格を一つ。設楽さんをして「こんなに風格と迫力がある石瓢壺を見たのは初めて」という逸品。これは本当に凄い。何が凄いって、見た瞬間、うわカッコいい、と思ってしまったというか、そんな風に思わせるだけのパワーがあるように見えるのだった。まずはその土色。美味そうなチョコレートみたいな色。こういう色が自然に出てる茶壺から不味いお茶が出てくる気がしない。

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書かれている文字のレベルも高く、反対側の絵も良く出来ていて、何より、ちょっとだけ高い足、ちょっとだけ潰れ目の胴、直立するような潔い注ぎ口の屹立といった、各部の特徴が全部合わさって「カッコ良さ」を作ってる、その造形の見事さ。作家モノらしいけど、特に名がある人ではないらしい。知名度が無くても、凄い作家は普通にいる、という証明みたいな茶壺だと思う(やってる仕事の割に知名度が低い俺としては、自分を見るような気分もあるのかも)。これは24万円。これが高くないと思うほどの名品だけど、俺は高くて買えはしない(泣)。

で、美味しそうと思うポイントは、案外第一印象だな、と思う。ぱっと見て目に付くものは、美味しそうだから目に付くのだ。で、触ってみて、見た目からして重過ぎず、軽過ぎず、ちょっと軽いかくらいが俺的にはポイントが高い。で、肌触りが気持ち良ければ、それは大体自分にとって良い茶壺だ。俺は。

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しみじみと水平壺

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我が家の水平壺3

茶壺を使い始めた頃、水平壺には興味が無かった。文旦壺と漢瓦壺と倣古壺が好きだったように思う。もうあんまり覚えてないけど。初めて買った水平壺は、四年前、海風號に早期壺が大量入荷した時に8000円で買った紫砂の早期壺。当初は、早期壺というのを使ってみたかっただけで、水平壺であることはどうでも良かった。ただ、この早期壺が、やけに育つ上に、良い感じでお茶が入るので、良い茶葉用に随分活躍したのだった(今も活躍中)。

そうなると、形まで良く見えてくる。ルックスに惚れたわけじゃないと思ってても、付き合ってる内に、そのルックスが好きになったりするのと同じようなものなのだろう(これが意外に多い俺)。今では、水平壺の形がとても好きだ。特に、きちんとバランスが取れた奴は、持ちやすいし、淹れやすいし、手入れも楽だし、デザイン上の変な引っ掛かりもなくて、ザ・道具という感じで。

その後、いくつか手に入れた。一つはいわゆる汗かき壺の水平壺。ちょっと大きめなので、3人くらいで飲むのに便利、なんだけど、3人だと、倣古壺の気に入ってるのを使ってしまうから、実は、そんなには使っていない。ゆっくり育てていこうと思っている。もう一つは、文革後期の香港の祥興茶行が記念で作った奴。いい感じの土で、記念品で、でも水平壺だからすんなりしてて。どれも海風號で手に入れたもの。何となく、海風號の水平壺が良いのかもしれないという気にもなる。あんまり、他所で良い水平壺って見ないから。

スタンダードなデザインだからこそ、良し悪しがハッキリするような気もするし、魅力的な水平壺を見つけるというのは、結構難しいような気もする。だからこそ、水平壺はファンが少ないのかもしれないのだけれど、最近の俺は、水平壺でのたのたとお茶を淹れながら、しみじみ、この形が好きだなあと思ったりしているのだった。

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香港から来た茶壺

お正月を香港で迎えた海風號主人設楽さんが、香港で見つけてきた茶壺は、数こそ少ないけど一つ一つがかなり良い。設楽さんが言うには「香港の人はお茶飲まなくなっちゃったのかなあ」という話で、設楽さん行きつけの茶道具屋が二軒ともつぶれていたり、良いモノが少なく、あっても法外に高かったりと、仕入れの条件はかなり厳しかったらしいのだけど。

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海風號「角民国壺」12万円

上の写真は、今回の目玉の一つだと思う。民国壺なのだそうだけど、見たり触った感じでは、もっと古いんじゃないかと思わせる迫力がある。使い込まれたような茶色の肌の艶がほんとカッコいい。設楽さんも「これはちょっと凄い」と惚れ込んでいるけれど、そんな話しを聞かなくても、只者でない感じが発散してる。形も大きさ(100ccくらい)も、お茶を淹れるのに向いていて使いやすそうだけど、茶葉の出し入れは面倒くさそうなのが唯一の欠点か。でも、ほんと迫力ある。12万円は高いようだけど、実物見たら納得する感じ。

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海風號「ぷっくりと可愛い茶壺」16万円

続いて、今回最大の名品と設楽さんのお墨付き。ぷっくりした把手と注ぎ口の、設楽さんお気に入りの形は海風號には時々入荷するけど、その中でも、これは別格かも。把手の丸さと膨らみの美しさと持ちやすさとか、土のムードの良さとか、技術の確かさとか、いちいち凄くて、佇まいが既に別格と言う感じ。正直なところ、俺はこの形ってあんまり好きじゃないのだけど、ここまで良いと、趣味とかと関係なく、思わず手に取って唸ってしまう。紅茶とかプーアルとかの良い奴を、これでガッツリ淹れたら美味いだろうなあと思う。土の感じの良さなんて、ちょっと信じられないくらい。

注ぎ口の形が可愛くて、設楽さんに「この注ぎ口がいいですねー、子供のチンポみたいで」と言ったら、「ああ、そういう呼び名がついてる形ですよ」と笑いながらも普通に返されてしまった。中国人、やるな。

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海風號「民国壺」4万5千円

これも今回の名作。筋彫りで絵が描かれた民国壺。絵のレベルも高いけど、それよりもこの茶壺の魅力は、そのバランスの良い形と土のムードの良さだと思う。大きさも200ccくらいで使いやすそう。どっかの茶館で大事に使われてたような雰囲気があって、すぐにでも美味いお茶が入りそう。水平壺のようで、ちょっと違うのね、形。価格は45000円。もはや、このレベルでこの価格は安いと言うべきなのかもしれない。

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海風號「請飲中国烏龍茶水平壺」3万円

個人的に俺が好きなのが、この水平壺の早期壺。「請飲中国烏龍茶(烏龍茶を飲もう)」キャンペーン用の茶壺らしくて、海風號には時々入荷してたもの。ただ、ここ数年は無かったし、今回も香港で一個だけ見つけたのだそうだ。似たような土で同じ形の早期壺を持ってて愛用してるから、何となく買いづらくて、どうしようと思ってる間に、誰かに買われてしまって未だ持ってない。でも、久しぶりに見ると、やっぱいいなあ。間抜けなキャンペーンのコピーが最高だ。良く育つのは保証付きの土だし、価格も30000円と手が出るギリギリくらいではある(前はもう少し安かったけど、香港の価格高騰と早期壺の枯渇ぶりを考えたら、この価格で買えるのも最後かもとか思う)。

他のも、今回は粒揃いだと思う(その代わり、ほんと数が無いけど)。ちょっと珍しい土の奴とか、形が独特だけど使いやすそうな奴とか、香港から来た茶壺だからか、垢抜けた感じのが多いのが特徴のような気がする。

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超大雑把な失敗しない茶壺選び

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海風號で買った民国の扁石壺

俺の周囲に限った話かもしれないけど、ある程度普通の形をした、やや大きめの民国壺(中華民国の時代に作られた茶壺のこと)で失敗した人はいない。普通の形というのは、水平壺だったり、石瓢壺だったり、倣古壺だったり、扁石壺だったり、漢瓦壷だったりするようなもの。価格は、30000円から120000円くらいするけど、セールを狙えば手に入る。サイズは、300ml以上くらい。本当に民国壺かどうかの判定は、海風號の設楽さんが頼りになる。

あと、誰か、自分が好きな人が5年以上、毎日のように使っていた茶壺。これも失敗がない。まず間違いなく美味しいお茶が飲める。当たり前である。この場合、元の茶壺の価格なんて関係ない。時代も関係ない。その人が気に入って使い続けていたという事実が重要。問題は、どうやって入手するかだけ。そこは自分で考えよう。

ということは、民国以前の茶壺で、自分が好きな人が5年以上使ってるのがあったら、それはもう間違いない。翻って、自分が好きで5年以上使い続けている茶壺があれば、それは民国壺と同じくらいの価値はあるということで、それを人にあげるかというと、相当好きな相手じゃないとあげない。ただ、自分が好きな人は、自分を好きな人ではないかも知れないというのが、茶壺選びの難しいところだ(違)。

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茶壺を紹介するのは難しい

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茶壺の海(秘密)

時々、茶壺の紹介記事を大量に書くことがあるのだけど、あれはほんとに難しい。お茶を淹れる道具としての個体差があまり無いから、ボキャブラリが足りなくなるのだ。まあ、そこから言葉を捻り出すのが文章を書く面白さではあるんだけど。

これ、ずっとやってたら茶壺を見る目もアップするのかなあ。あんまりそういう気はしない…。

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量産品が好きであるという不思議

Sany1246
海風號に再びやってきた鉄画軒の茶壺

 この写真の鉄画軒の茶壺が良いのは分かる。何か、とても触った感じが良くて、味わい深い土とはこういうものかとか思う。形も隙がないキレイさで、把手を持った時の重さのバランスも良い。多分、美味しいお茶が入るんだろうなとも思う。

 でも、何故だろう、欲しいとは思わないのだ。この茶壺と同じ時に北京から海風號主人の設楽さんが持ち帰ったという程壽珍の倣古壷は、既に売れていて実物を見る機会がなかったのだけど、多分、それも欲しいとは思わなかったような気がする。価格とは関係なく。

 で、例えば鉄画軒の場合、筋紋壺ってあんまり好きじゃないというのもあるけど、そういう好みを越えた良さは伝わる。程壽珍の倣古壷の場合なんて、倣古壺は好きな形なんだけど、写真を見てもあんまりそそられなかった。といっても、凄え見たいとは思ったけど。

 だから、興味が無いわけではないのだ。価格のせいで興味が無いというわけでもない。ちょっと凄い価格の茶壺だって、実は持ってたりもするし。とか考えていて、ふと気がつくのは、実は俺、あんまり作家モノに興味が無いのかも知れないということ。

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海風號にやってきた民国の早期壺(3万円)

 例えば、この写真の茶壺は欲しいと思った。デッドストックの早期壺みたいで、とてもキレイ。多分、まだ誰も使っていない感じ。その部分は残念だけど、海風號で1年くらい使った後なら、即買っていたかもしれない、というくらい好き。量産品だけど、丁寧に作ってあるし、扱いやすい感じだし、育ちそうだし。

 この早期壺と上の鉄画軒、どっちか貰えるとしても、早期壺もらうと思う。そういう好み。そういう価値観。

 何故かは分からない。でも、作家の一点モノ茶壺とか、嫌いじゃないけど、持っていたいとは思わない。それで淹れたお茶は飲みたいと思うけど、それは、誰かに淹れてもらいたいとも思う。この感覚って何だろうとも思うけど、そうなんだからしょうがない。ニセモノとか本物とか意識しないで良いモノが好き、というのはある。「良い」が保証されているモノを所有したいと思わないということかも知れない。

 でも、モノを選ぶ、というのは、とても個人的な作業で、それが実際に使う道具となると、作り手の顔が見えない、そのモノ自体の魅力を自分の目で見つけたいと思ってしまうのも、また当然のように思うのだ。

 と書いて、そう言えば顧景舟の倣古壺は欲しいと思ったのを思い出した。何か顧景舟の茶壺って、何と言うか作家臭が薄い感じがするのだ。工房の人だからかも知れない。よく分からないけど。

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相棒のような茶壺

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海風號の漢瓦壷とマグカップ

 ずっと前からお茶は飲んではいたけど、この漢瓦壷を手に入れてからと、それ以前では、何となく変わったような気がする。何となくとしか感じられないのは、この漢瓦壷でお茶を淹れるというのが当たり前になり過ぎて、それ以前、どうしていたかが思い出せないから。

 あんまり、仕事机ではお茶を入れる事はないのだけど、この漢瓦壷は、こんな風に手元にあることが多い。キッチンにお湯入れに行って、戻ってきて、ちょっとだけ間を置いて一気にマグカップとかに注ぐ。で、仕事しながら飲んで、なくなるとまたお湯を入れに行って、お茶淹れて仕事して。

 そんな時に選ぶのは、いつも、この漢瓦壷で、ほとんどスペースがない俺の机の上でも、どうにか置けてしまうコンパクトさと、その割に結構お茶はたっぷり入るのと、いつも確実に美味しく入るので、当たり前のように選んで、当たり前のように使い続けている。

 だから、ありとあらゆる茶葉を、これで淹れてる。手に入れた時点で、既に10年以上旅していた茶壺だから、もう、何用とか意味が無くて、流石にプーアルは淹れてないけど、紅茶は淹れたなあ。ほんと、何淹れても美味い。もしかしたら香りはそんなに立ってないのかも知れないけど、美味いからいいや、みたいな感じで。

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凄い茶壺のこと、または海風號博物館

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通販セールも好調の内に終了した海風號に、そろそろ落ち着いた頃かと思って行ってみたら、設楽さんが「海風號に、久々に宝物が来ましたよ」と嬉しそうに笑って見せてくれたのが、この菊花壺。

清朝末期のもので、鉄画軒製。凋盤根という作家の手によるものらしいけれど、詳細不明。作家名も定かではない。ただ、何と言うか、もう風格が違うというか、その只者で無さ加減が物凄い。形のキレイさもそうだが、何より触った時の肌触りがたまんない。柔らかく受け止めるような感じで、すぐにでもお茶を淹れたくなるような土。

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デザインとしての菊花壺は、あんまり好きではなかったけど、こうなるとデザインがどうとか、形が趣味でないとか、そういうのはあんまり関係なくなるみたい。これで淹れたお茶が飲みたいと思ってしまう。設楽さん曰く「昔の職人は良い仕事をした、その証拠のような茶壺」ということ。

容量は350ccくらい。価格は34万円。でも、最近の作家物の高い奴に比べれば全然安い(といっても俺は買えないけど)。まあ、とりあえず、これ見に海風號に行くだけの価値はあると思う。

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で、さらに宝物は続く。これも、設楽さんのお気に入り。これと、上の菊花壺は、設楽さんをして興奮させる久々の名品だそうだ。で、これは吉直壺の蓋に獅子の親子が乗ってるもの。民国壺で、じっくりと使われてたものらしく、すっかり育った養壺済みの茶壺だ。

土の雰囲気の良さは、その見事に育ったツヤを見ただけで分かる。何か、使い込まれた良質の革製品みたいな肌だ。こういう朱泥は見たことない。で、やたら品がある。獅子が、しかも、やたらとかわいい獅子の親子が乗ってるにも関わらず、しっとりとして上品だ。何だろう、この不思議なムード。

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で、上の写真見てもらえば分かると思うけど、本当に獅子が良く彫れてる。かわいいのなんの。適当な彫りが愛嬌になってる事が多い、獅子の蓋だけど、これはそういうのとは格が違う感じ。日本の良く出来た古い根付けみたいな完成度とノリだと思う。これで容量は300ccくらいで、価格は25万。この獅子の親子も見といた方が良いと思う。何か、博物館みたいね。

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さらに続く名品。これも凄い。柔らかく、気孔が多そうな、民国壺ならではの朱泥調砂の良い感じが見ただけで伝わってくる扁壺。そして、とても丁寧に養壺された、というより、たっぷり使い込まれて、そのままお茶を淹れられる即戦力の凄み。

形も良いし、300ccくらいという実戦的な大きさも良い。ぽくぽくした土のムードは、撫でてるとはなせなくなるくらい良いし、茶壺の中はいい匂いがする。民国の始めの頃のものではないかと設楽さん。ただ、胴の側面に少しだけヒビがある。お茶を淹れるのに支障はないけど、その分安くなってて、18万。これは、是非触ってみて欲しい。好きだ、ほんと。設楽さん的には、上の二つには敵わないそうだけど、俺は、これ好きだ。

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ただ、もっと好きなのがあって、それが上の写真の平たい茶壺。扁石壺だっけ。これ、茶色みたいだけど、実はほとんど、お茶で染まった感じ。もう、どんだけお茶淹れたんだ、というくらい使い込まれた民国壺。民国の時代に生まれ、つい最近まで、ひたすらお茶を淹れてきたような、お茶で真っ黒になった茶壺。これは、買ってしまいました。値段は内緒。上の三つよりは安い。

無理しちゃったけど、でも、これは欲しかった。モロ好みど真ん中。大体、俺は清純な少女より、40歳でトップを張ってるソープ嬢の方が好きなのだ。この茶壺が淹れてきたお茶の全部、その蓄積が好きなのだ。形も好き。実は、この形、茶葉を出しにくいのも知ってるけど、好きな形には変わりない。

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あと、この鴨のやかん。設楽さんのコレクション入りなので非売品だけど、この口からお湯が出ると思っただけで楽しい。これも、見といた方が良い名品(というか珍品か)。いや、実はここだけの話、今、海風號は美味い茶葉もいくつか入ってきてるし、店は博物館状態だし、ちょっと凄いことになってるのだ。

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他にも、上の写真の設楽さんが見つけた上手の倣古壺を煙養壺させたもの45000円とか、下の写真の、70ccくらいしか入らない手のひらサイズだけど、土も作りもとんでもなく良い民国の小茶壺、25000円なんかの新作茶壺も入荷してる。お盆休みもないそうだし、売れちゃう前に行った方が良いかも。って、既に買っちゃった俺が言うことではないか。

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海風號のセールで茶壺のことを考えた

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朱泥小倣壷、セール価格7000円

今、海風號のオンラインストアでは、OZONE夏の大茶会に来られなかった人向けに通販のセールを行っている(もちろん大茶会に行った人も買える)。23日(月曜日)に始まったばかりだけど、さっき見たら、民国壺とかはほとんど売り切れていた。何か、皆様見る目あるなあと思う。

ただ、今回の仕入れについて設楽さんと話していて、ちょっと気がついたことがある。良い茶壺を使うにこしたことはないのは、まあ、そうなんだけど、でも、茶壺に何万円もかけられるのは、やはり一部の人なのだ。頑張って出して一万円まで、という人でも、結構マニアというか、がっつりとお茶に嵌まってる人だと思う。

設楽さんが「一万円以下で買えて満足できる茶壺を探したんですよ」と言うように、今回、実はセール価格で5000円から10000円までの茶壺が面白いのだ。というか、俺は実は最初よく解らなかった。それは、既に俺が、お茶を淹れるのに満足出来る茶壺を既に持ってるからだった。設楽さんの「これから中国茶に興味を持とうというお客さんは、何万円も出しません」という言葉を聞いて、ちょっと感覚が麻痺していた自分に気がついた。

確かに、値段ではないし、高い茶壺は手が出なかったのだ、俺も(今も、そんなに高いのは買えないけど)。今でも、最も利用頻度が高いのは、思い切って買った当時20000円の初代漢瓦壷と、8000円の早期壺、そして年期が入ってるけど元の値段は10000円くらいという倣古壺の三つ。そして、そのどれもが、本当に美味しくお茶を淹れてくれる。

結局、気に入って使い続けるかどうかだし、ひどいものを掴まないことで、そう考えると、今回のセールの5000円から10000円の茶壺は、かなりのお買い得だ。だって、これなら海風號の茶壺として売っても大丈夫と、設楽さんが保証している茶壺が、5000円とかで買えてしまうわけだから。例えば、一番上に載せた写真の朱泥小倣壷(要するに、小さな倣古壺だ)。これが7000円で買える。しかも、今見たら、まだ8個あるのだ。初めてとか二個目の茶壺がこれだったら、何だかとても当たりな気がする。

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個人的には、上の写真の紫泥小壷が好きだ。これ設楽さんが気に入って一窯買い占めたというものだけど、確かに良くできてた。これが10000円なら本気で安い。初心者にもギリギリ手が届く価格だと思う。在庫も残り4個だった。この形、設楽さんが好きなんだよなあ。好きなだけあって、この形の茶壺の中でも抜群にキレイだし。

他にも、轆轤引きの茶壺の意外な使い道とか、育つ茶壺しか選ばないという話とか、色々聞いていて、何となく、古い茶壺にばかり目が行っていたことに気がついて、とても反省した。そんなつもりは全然なかったのに。しかも俺、それほど古いのなんて持ってないし(せいぜい民国どまり)。なのに、何となく7000円の茶壺を軽視してた。バカみたい。良い悪い、好き嫌いは、自分で決めれば良いことなのにね。

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で、つくづく好きなのは、この漢瓦壷。何度も書くけど、初代バージョンの今回のロットは、本気で良いから嬉しい。で、そのミニバージョン、ミニで朱泥って、あんまり作ってないけど、これがまた上出来。大茶会では団泥の方が売れたみたいだけど、俺は朱泥が好き。そういう、自分の好みをきちんと打ち出した上で選ぶのが、モノ選びの基本だって、分かってたのに狂ってた。ああ、大好きな8000円の早期壺でお茶淹れて、感覚をリセットしよう。

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海風號に茶壺が二百個

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OZONE夏の大茶会に向けて北京に仕入れに行っていた海風號主人設楽さんが帰ってきた。北京から200個の茶壺を連れて。お手頃なのから、ちょっといい奴、オリジナル茶壺に凄え茶壺まで、とにかく大量に入荷している。これらが、夏の大茶会&その後の大茶会に来られなかった地方の方向けの通販セールで一気に売れていくのは、毎年のこと。

ただ、その前に、どうしても押えておきたいとか、大茶会前に予習しておきたいという方向けに(というか、本当は俺が好きな茶壺を売れる前にチェックしておきたいからだけど)、ざっくりと目に付いたものをご紹介。何か、どんどん増える偽物から、ちゃんとしたものを選び出す作業が年々大変になっていると、設楽さんがぼやきつつ、それでもしっかりと選んできた茶壺たちである。



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まずは、この水平壺。今回の仕入れ分で最も俺好みだったのは、これ。土が良くて、形もキレイで、「これいいですねー」と言ったら、「完全に本物の民国壺ですよ」と設楽さん。180mlくらいの一人から二人飲みサイズ。価格は六万円だけど、大茶会ではもう少し安くなる。一点物だから、ここで手に入れとくか、大茶会に勝負を掛けるかが悩み所。でも、これは本当に良い感じ。模様も好きだ。



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続いて、100mlくらいの小さな石瓢壺。これ、小さいんだけど、土の味わいは、今回の茶壺の中でもナンバーワンだと思う。この小ささで、こんなにまで土の感じが良い物って珍しい。そのせいか、小さいのに、やけに風格があるのだ。価格は五万円。手にしたら、しばらく手放せないくらい、手触りも持ち心地も良かった。何か凄い茶壺。



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これも小さめ。120mlくらいの倣古壺。小さいのに形のバランスが良くて、小さめの倣古壺にありがちのズングリした印象が無いスムーズな平たさが魅力。使いやすそうで、美味しく入りそうな土味で、初めての茶壺にも良さそう。つーか、このレベルの茶壺を最初に持ってたら、しばらく茶器を買わずに済みそう。価格は三万円。



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これ、変な形だけど、古くからあるスタイルらしい。僧帽壺とか鶏冠壺とか呼ばれるものらしい(見たまんまのネーミングね)。今まで海風號では見たことがない形だったので、「これ珍しいんですか?」と聞いたら、「結構あるけど、いいのが無かったから買わなかっただけ。これは古いし、使えるし、良い物だったから買ってきた」ということ。蓋はビシっと閉まるし、清の末期から民国の初期くらいはある古いものだそうだ。200ml入って六万円。設楽さん的今回の目玉の一つだそうだ。



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これは250mlくらい入る石瓢壺。一見、普通の石瓢だけど、手に取ってみるとかなり凄い。まず、色で分かる人もいるかも知れないけど、これ煙養壺。煙で燻すことで土肌に味わいを出したもの。だから色が本当にキレイ。で、作りが凄く丁寧なのだ。下手な作家物よりもしっかりしてる感じ。これで大量にお茶入れて冷茶にしたりするとスペシャルなお茶が出来そう(そんな邪道な使い方するのは俺だけか?)。四万円はお買い得かも。



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これは設楽光太郎プロデュースによる白磁の茶壺。170mlくらいだから、サイズ的には前の白磁の漢瓦壷とおなじくらいの容量。特徴は、ぷっくりと膨らんだ注ぎ口の形状。これが設楽さんのアイディアで、この膨らみによって、お茶がある程度の速度でスムーズに出るわけだ。注ぎ口が小さくて、ゆっくりと出る茶壺だと、思った通りの濃さで抽出するのが難しいが、この茶壺なら、注ぐ速度が速いので、思った通りの濃さで出せる仕掛けだ。これで8000円。今回の大茶会の目玉になりそう。



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この漢瓦壷も設楽さんプロデュース。紫砂で従来の漢瓦壷より大きめに作らせたものだそうだ。210mlくらい入るから、漢瓦壷がサイズ的に不満だった人にはとても良い選択ではないかと思う。実は、俺は、今回、これよりさらにもう一回り大きな団泥の漢瓦壷をゲットしたのだけど、大きめ漢瓦壷は使いやすいよー。これは一万五千円。これと白磁のは、数がいくつかある。他は一点物。

大茶会の海風號ブースレポートは、またやるけど、とりあえず予告編みたいな感じで。とにかく、設楽さんは、200個揃えて大茶会に備えているわけで、今年も熱い茶会になりそうだと思う。安いのにも、かなり使いやすそうなのが沢山あるし。

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2007年春の海風號新着茶壺

このところの海風號は、早く行かないと新着茶壺はネットショップで売り切れてしまうので、北京から設楽さんが帰国された日に海風號に行って新着モノをチェックしてきた。もちろん、茶壺も1個ゲットしたけど、それはそれとして、目に付いたものをご紹介。まあ、今は海風號電脳商城で写真も見られるし、ほんと、俺の趣味に偏って好きなのだけ厳選。

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まず、今回の新作では倣古壺に良いモノが目立った。200ml前後の良い大きさの良い感じの平たい系。中でも凄かったのが、コレ。これは凄いなあと思って見てたら、設楽さんが「これは、もう60年以上茶壺を作り続けている名も無い職人さんの最新作なんですよ」とのこと。凄え出来が良いのだ。で、作家モノにありがちの主張がなくて、ちゃんと道具になっている。価格は77000円と、ちょっと高いのだけど、使い込んだら何十万の価値に簡単になりそうな名品だと思う。隙のないフォルムだけど重くない。使い勝手がメチャクチャ良さそうで、その感じが写真から伝わると良いなあと思うけど、どうだろうか。



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この丸っこい小振りの茶壺が18000円。こんな感じの、小品の良い感じの茶壺が多いのも、今回の新着の特徴。土の感じも良いのが多くて、コレ、と一個に決めるのが難しい感じだと思う。これも、とてもバランスが良くて、蓋が小さいのだけど、その小ささが熱いお茶をキッチリと淹れられそうで、漢瓦壷とコンビを組ませて、特徴の違いを味わいたいと思わせる。こういう丸っこいの、あんまり好きじゃないんだけど、コレは良かったなあ。


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これは、二枚目の写真を見ると分かると思うけど、表だけ釉をかけて焼いたもの。だから養壺は出来ないが、土の茶壺の味わいはあるというタイプ。400mlくらいでティーポットサイズという感じか。これがキレイなんだ。上手い事焼けてる。色合と透明感のせめぎ合いが良くて、飾っておきたいくらいだけど、どこかで使われてたみたいなので、もっと使い込んでいきたいとも思わせる。

まあ、清末の頃のものらしいし、これだけの出来なので価格は88000円だけど、この価格は実はかなり安いと思う。他で、似たようなモノで、これよりキレイさで少し劣るものを、この数倍の価格で見たこともある。設楽さんのサービス価格ではないかと思う。いや、ほんと、つくづくキレイよ。出来れば、売れる前にお店に見に行ってもらいたいくらい。



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そして、今回の個人的な目玉が、この巨大漢瓦壷。右がレギュラーのものなので大きさは分かると思う。デカイよ。そして、古い。民国くらいではないか。価格は60000円。風格ありまくり。肌の感じも貫録あるけど気持ち良くて、デカイのに作りが丁寧で。欲しいと言えば、これが一番欲しいのだけど、俺としては予算オーバー。ああ、でも良いよ、これ。

で、実は、今回、大小、古今取り混ぜて、漢瓦壷が色々入荷してる。漢瓦壷マニアにはたまらないラインアップになってるのだ。結局、俺は、そんな漢瓦壷シリーズの脇というか、円筒状のスタイルで蓋が漢瓦になってない、ちょっと感じが違うものを選んだ。やっぱ、この円筒状の茶壺、好きなんだよなあ。



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あと、この茶海は海風號オリジナルの新作。レギュラーの漢瓦壷とサイズがピッタリで、組み合わせて使うと中々美しい。二人くらいで、ガッツリと飲むのに良いサイズの茶海って、良いモノが少ないので、この茶海は有り難い。7000円。もちろん、俺もゲット。ちょっと有田みたいなムードもあって、どこに置いても似合って、でもイザ他で探すと、簡単にはみつからないようなところが、海風號オリジナルらしいところ。

今回、数は少ないけど、良いモノが本当に多いと思う。また電脳商城で売り切れるんだろうなあ。ほとんど1点モノだし、ますます早いもの勝ちだ。

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煙養壺と海風號新着茶壺

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煙養壺という養壺の方法があるらしい。ウッドチップなどで茶壺を燻して、良い感じの色と香りを付けるのだそうだ。手間がかかるため、あまり行われないのだそうだが、今回、海風號主人設楽さんが、いくつか北京から、その煙養壺された茶壺を持ち帰っていたのを見せてもらったのだった。上の写真は、その中の一個。リンゴくらいの大きさの茶壺は、これからの季節、家族でお茶を飲むのにちょうど良いサイズ。そして何より、とても色がキレイなのだ。

「これでお茶を淹れると、さらにキレイになっていくんですよ」と設楽さん。写真では色が分かりにくいかもしれないが、これが本当に見事な色と艶なのだった。しかも育ちが早く、お茶も美味しく入るそうで、その触り心地と、サイズ、佇まいの良さに惹かれて即ゲット。といっても、同じものがあと2個ある。これ20000円だ。平田さんも、初めて見たと言う煙養壺、比較的最近作られたものだそうだけど、使われている土(紫砂)は、既に手に入らなくなったものだそうだ。作りも丁寧で、使いやすそうで、主に比較的茶色い系統のお茶を淹れて変化を楽しもうと思っている。

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で、この写真が、今回設楽さんが自分のために買ったという煙養壺。もう何年も使ったような色艶と、落ち着いたフォルムがキレイな非売品。煙養壺の面白さが分かりやすく表に出ていると思う。土臭さもないし、燻製の香りがするわけでもないので、純粋に、外側を美しく見せるための工夫、台湾の水磨壺とかと同じような方向の処理なのだろう。燻したあと、煤を落として磨いて、また燻してを繰り返すのだそうだ。よく分からないけど、現物はとても魅力的なので、まあ、実際の味わいとかは自分で実験してみようと思う。

続いて、恒例、海風號新着茶壺から気に入った奴の紹介を。

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で、まずは、これ。手のひらサイズより一回り大きいくらい(150ccくらいか)の倣古壺。古いものではないそうだけど、これが丁寧な仕事なのが一目で分かる感じの良さ。15000円。設楽さんが出来の良さを絶賛していたけれど、あんまりそういうのが分からない俺が見ても、形のバランスが凄い良いのが分かった。

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これは、凄く小さい。ボールペンの大きさから想像して欲しい。で、小さいけど、ちょっと迫力がある。なめんな、みたいな感じ。9000円。個人的には使い道がないサイズだから買わなかったけど、それでもちょっと欲しいと思わせる。結構平たくて、小さいから、ポケットとかにスルッと入るのがカッコ良いと思ったのだった。

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これも小さい。小さくて平たい。この写真で見るより実物はもっと平たい。で、古いSF映画の空飛ぶ円盤みたいな足がついている。サイズ的に、多分110ccくらいしか入らなそうなのだけど、これはかなり欲しいと思った。個人的には結局ゲットした煙養壺と同じくらい好きだ。まあ、実用性で煙養壺をとったのだけど。それにしても今回、極品揃いだと設楽さんが言うように、これみたいな7000円あたりの価格帯のに良いモノが揃ってるように思った。

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あとカッコ良かったのが、この角張ったムードの茶壺。大きさは、250ccくらいか。ロボット風のシルエットと、結構安い(7000円だったと思うけど、違うかもしれない)のに、作りがしっかりしてるのが魅力。形がとても好きだ。

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茶壷を見る目、または、海風號に新作茶壷が入荷

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今回、海風號に入った茶壷の中の一番のお気に入り。文革末期の水平壷。土が良いというのではなく、この土がとても好きな感じなのだった。

設楽さんが中国から持ち帰る茶壷を毎回見せてもらううちに、いくつか分かったことがある。一つは、やっぱ、全然骨董を見る才能と言うのが無さそうということ。というか、どうも俺の価値基準は、時代ではないようで、結果として古い物が好きと言うことはあっても、それが理由にはならないようだ。で、茶壷に関しては、まずはデザインというかフォルムが好きかどうかがあって、次に土と言うか肌というか、要するに質感みたいなものが好きかどうかが来て、次に作りの丁寧さとかが来て、最後に機能というか、自分が使うに当たって魅力的な部分があるかがあって、総合で「欲しい」とか「好き」とかが決まるようだ。

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かなり古いものらしい。完全に「飾る」ためのモノだが、サイズがちょうどいいことや、茶壷には珍しいしっかりした分かりやすい重厚感があって、使ってみたくなる。甘いお茶を淹れたい。

上に挙げた二つの写真が、今回の海風號新着茶壷の中で、俺がとにかく好きだったもの。上の水平壷は、もう本当に土の感じが好きで好きで、こういう茶壷で淹れるお茶が飲みたい!と思える、肌触りの良さと色の良さと見た目の良さを兼ね備えた土。写真では赤く出てしまったけど、実物はもっとグレーに近い茶色。似たような土で一回り大きな早期壷を持っているのと、このサイズでは出番が少なそうなので買わなかったけど、次に見たら分からない。で、その下のは、普通、俺は見向きもしない形なのだけど、これはちょっとカッコよくて。かなり古い物らしく、値段も相応だけど、こういうカッコ良さは茶壷には珍しいと思う。

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それなりに大きくて、水垂れの無い朱泥の茶海。こういうのは中々見つからないので、思わずゲット。まだ数が有るので、お早めに。

今回は、茶海もある。茶海は見る目も何も、機能とサイズで勝負だから、これは買いだと思う。本当に無いんだ、良い茶海。だからどうしてもピッチャーで代用してしまって、おかげでみんな投手王国。そのあたりが、茶海という道具の歴史の無さを証明しているのだけど、道具として便利ではあるので、これから、「良い茶海」という基準を作っていく必要があるのではないかと思う。そういう意味でも、茶海は面白い道具なので、ちょっと集めたいと思っている。

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設楽さんがお土産用に買ってきて、でも気に入って非売品にした、不思議なティーポット。シノワズリのパロディみたいで楽しい形。

で、こういうヘンなのも、やっぱり設楽さんは買ってくる。これ、そんなに高くないらしい。このあたりが、まだ俺が全然分からないところで、この妙なティーポットは、別に古い物でもないらしいけど、俺としてはあまりにも好きだから、凄い高い物に見えてしまう。こういう可愛さには、ちょっと弱い俺。ギャグのようで、まともなようで、視点がとてもハッキリしてないデザインで。これを「良い」という目が無いのだ。「好き」は言えるんだけど。

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もはやふざけてるようなデザインの茶壷。このフザケ加減が好き。しかも、これも文革くらいらしい。

で、茶壷に関しては、既に「使う」分には間に合っているのだ。まあ、大きめの倣古壷か線壷は一つ欲しいと思ってるけど、他は十分間に合ってて、しかもどれもお気に入りだ。すると、面白いと思う基準が、本当に面白いものになっちゃったりして、こういう「面白さ」が前に出た形を「案外良いのでは?」とか思ってしまう。こんなのは持ってないから、どうにかして使い道を見つけてやる、みたいな感じで。こうなると、見る目なんかとは離れて、おかしな方向に向かっているのは明らかなんだけど、そういう状態で買ったものに、意外に名品があったりして、これはこれで侮れない。

うーん、やっぱり茶壷を見る目を鍛えるのは難しい。しばらくは、好き嫌いで行こう。というか見る目が「ある」と思ったら、そこでもうろくでなしになるような気もするのだった。ということで「ブレ」を楽しむのも良いかとか思ってみたりもしよう。

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茶壷の「出来が良い」を考える

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写真は海風號の新しい「漢瓦壷(小)」15000円

 新しい海風號の漢瓦壷(小)は、海風號主人設楽さんも「時々、こういうのが出来てくるから面白い」と満足そうに語る出来の良さ。実際、前の漢瓦壷(小)と比べれば、細部が一々上を行っていて、並べてみると、その差は一目瞭然。「作家が随分上手くなってるんですよ。成長してます」と設楽さん。なるほど、と思う。エッジがキレイに真直ぐで、注ぎ口の穴の形も歪みの無い半月状で、何より個体差がさほどない。作家の成長の後がこれほど分かりやすいケースも珍しいように思う。

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 そうやって、見比べていて考えたのは、「出来の良さ」と一言で言っても、その内実は結構色々あるということ。例えば、今回の漢瓦壷(小)の場合は、まず「漢瓦壷」というスタイルの完成度が高いため、その部分での「出来の良さ」は既にクリアしている。土に関しては、多分「出来の良さ」という評価基準には入らない。作家の腕は、もちろん評価の基準。ただ、作家の腕と作家の味と作家の意識は、多分別々の評価になるはずなのだが、そのあたりの評価の軸が曖昧のような気がするのだ。

 道具の魅力というのは、美術的な価値が後からついてくるのが本道だと思っている。また、作者の意図というのも、隠し味的なものであるべきだろう。腕も味も、その道具を使う人に奉仕してナンボ、という所から出発して、それを越えてしまう時に「出来が良い」が生まれるというのが、多分、「名作」と呼ばれる物が出来上がるための道筋。今回の漢瓦壷(小)が良いのは、既に用意された「海風號の漢瓦壷」というフォーマットの中で、最大限に良い仕事を行っているからこそ生まれた物だと思うのだ。

 だから、半分はフォーマットの良さであるのだけど、フォーマットの良さを損なわない出来というのも、やはり「良い出来」と言えるのだと思う。となると、作家の味と意識というのは、フォーマットを作る能力のことになる。茶壷の場合、曼生壷のような、ある程度お手本として使えるフォーマットがあるんだけど、実際のところ、あれは光悦みたいなものでないかと俺は思っていて、ああいうプロデューサー的な視点で考えつかれたデザインには、絶対ろくでもない物が紛れ込んでいるはず。その辺をきちんと評価した歴史ってあるのかなあとか、そういうことも考えて、ちょっと、この先は面倒くさそうなので宿題にしておこうとか思う。

 ただ、漢瓦壷という形は、倣古壷とか水平壷に比べて、より「道具」としての完成度が高い気がして、つい、プロダクトデザインとしての中国茶壷みたいなことを考えたくなる素材ではあるのだ。特に、この初代漢瓦壷の流れを汲むデザインは、もうフォーマットとして一つの頂点ではないかと思ってしまう。なので、こっち側から茶壷のデザインを考えていくと、例えば、倣古壷を、より完成されたフォルムに近づけるなんて試みも可能なのではないかと、不遜なことを考えたりしたくなるのだった。

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漢瓦壷考01「モバイル茶壷としての漢瓦壷」

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漢瓦壷1号 通称「オウギョウケン」

俺が最初に漢瓦壷を見たのは、初代漢瓦壷の二度目の入荷の直前だったと思う。海風號で設楽さんと二人でお茶を飲みながら、旅に持っていく茶壷は、どんなのがいいかを話していた時だった。その時に、設楽さんが「これを持って世界中を回ったんですよ」と言って見せてくれたのが、やたらと使い込まれた初代漢瓦壷だった。

その時、初めて漢瓦壷を見た俺は、なるほど旅に向いたデザインだなあと思ったのを覚えている。突起が少ない円筒形のデザインに、短めの注ぎ口。洗いやすい大きな口と、やはり突起が少なく平たい蓋。そして、しっかりと蓋と把手を結ぶ紐は元は白かったものが、すっかりお茶を吸って茶色くなっていて、それはもはや飾りではなく、持ち運ぶ道具として、蓋と胴体を一つにするためのものになっていた。

一人で飲むのにちょうど良いサイズなのも、カバンの中で場所をとらない形なのも、薄すぎない胎も、全てが旅向きだと思った。そして、設楽さんと何年も旅した証のように、赤黒く光る存在の迫力も、旅の道具っぽさを強調した。この形を設楽さんが気に入ったのは、その「旅の道具」として使いやすかったからではないかと、俺は想像する。

だから、漢瓦壷はガシガシと使うのが似合う。茶葉を適当に放り込んで、お湯をどぼどぼ注いで、蓋を親指で押さえて一気に茶碗に注ぐ。茶葉は一振りで捨てられる。ざっと濯ぐだけで洗える。タオルに包んでカバンに突っ込むだけで持っていける。注ぎ口から直接でも飲みやすい。

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漢瓦壷3号 通称「タンデイ」

漢瓦壷3号、団泥と紫砂のバージョンがある、アレは、そんな旅のための茶壷を、家庭での利用に向くようにマイナーチェンジしたものだと思う。使っていて、初代との差は、その突起部分(把手や蓋、注ぎ口など)が、少しづつ大きいこと。また、少し胎が薄くなっていて、全体に少しだけ繊細になっている。初代がノートパソコンなら、2号はラップトップパソコンという感じか。携帯電話と固定電話と言ってもいいかもしれない。

だから、3号はミニ漢瓦壷も生んだ。あれは3号のバリエーションだと思う。小さいのに旅向きではない。可愛い漢瓦壷。漢瓦壷の持つ、デザイン性をモバイル用途ではなく、戸棚や茶盤の上でこそ光るようにしたもの。俺が、ミニ漢瓦壷、つまり漢瓦壷3号ミニを持っていないのは、その用途は俺には必要ないものだから。その用途なら標準サイズの3号で十分なのだ。ついでに言えば、旅向きではないのなら、色は団泥が正解だと俺は思ったから、俺は団泥版を持っている。

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漢瓦壷2号 通称「ハクジ」

2号を飛ばしてたけど、2号は白磁の奴で、あれはちょっと性格が違う。新しい白磁漢瓦壷も、基本的に同じだから、あれも2号と呼ぶ(または2号ダッシュ)。この白磁バージョンは、旅向きである要素を、初代と同じか、茶葉を選ばない分、多く持っている。紅茶も視野に入れるなら、旅に連れていきたいのは、むしろこっちかも知れない。ただ、汚れに対して、やや意識的になってしまう白磁は、旅というより、旅行向きと言うべきかもしれない。ワイルドさに欠けるというか。何故か見た目もたおやかだったりして、素材感がデザインに与える影響の大きさを実感できる。

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漢瓦壷4号 通称「ブンカク」

4号は、漢瓦壷の機能的な部分を強調したものだと思う。初代より良い土(文革の頃の土)を使い、口はより広くし、胴はより円筒形で、把手も大きい。注ぎ口の独特な形にしても、突起部分をなるべく減らし、シンプルな円筒であることを強調することで、機能性を際立たせるための選択だと思われる。その結果が、やたらと使いやすく失敗の少ない茶壷ということになっている。使いやすさという点で初代を大きく引き離す。しかし、旅に持ち出すには、ちょっとだけ大きい。あれは台所や机の上に常駐する漢瓦壷だ。

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漢瓦壷5号 通称「ポケット」

その上で登場した5号は、久々の「モバイル茶壷」になっていると思った。低い円柱形のボディは、タオルでぐるぐる巻きにしても平たくまとまるため、カバンの隅に簡単に納まる。ボディは真っすぐな円筒で、厚手の胎は頑丈に作られている。そのヘビーデューティーな感じが、また初代っぽい。見た目は全然違うのだけど、コンセプトが近いのだ。そのサイズも、旅先でやたらと沢山の茶葉を買う人の試飲用に使うと良さそうなサイズ。

つまり、お茶をがぶ飲みする旅人向けの初代に対し、旅先でさえ、お茶を味わい、試し、比べたい人に向けて作られたのが、今回の漢瓦壷5号だと言えるのではないか。デザインの元になったのが、煎茶道具だったため、本当に胎がしっかりしているのだ。野点用だったのかも知れない。100ccというサイズも、お茶の旅用という感じがする。

このサイズなら携帯茶器ケースなどにも対応する。コンパクトにまとまるサイズとしてはギリギリの大きさで、だからこそ、本気で旅に持っていけるのだ。また、初代漢瓦壷が、旅先の室内でお茶を飲むためのものだとするなら、この5号は、屋外での利用も視野に入れているように思う。この低さは倒れなさに繋がるわけで、屋外での使いやすさは初代の比ではないと思うのだ。これはもう、漢瓦壷として原点に帰った「モバイル茶壷」の進化形。蓋部分にティッシュとか敷けば、そのままポケットに入れて持ち運べる、その過般性の高さも、ちょっと他の形では不可能だろう。

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海風號「漢瓦壺 4号」

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Photo by megmu@mame-en
海風號「海風號オリジナル漢瓦壺 4号」20000円

設楽さんが王暁健の漢瓦壺に出会うより前から使っていた、より本来の漢瓦壺のスタイルに近いという茶壺を元にして作られた、完全受注生産のオリジナル茶壺。この蓋のところのアーチ状の形が「漢瓦」ということらしい。

この茶壺を最初見た時は、何と実用一点張りの茶壺だろうと思った。面白い形だなあ、とも思った。好きな形だし、機能的な感じが「欲しい」と思わせる茶壺だったけれど、正直、デザイン的には初代漢瓦壺の方が好きだなあと思っていた。

でも、この茶壺、家に持ち帰って、煮たり洗ったり、お茶淹れたりしていると、いきなり印象が変わった。これ、凄いカッコいいのだ。漢瓦部分のスパッと切り取られたシャープさと、蓋いっぱいに伸びたアーチの形の良さ。実は意外に低いボディ。アンティークのマグカップみたいな、限りなく円柱に近いけど、ほんの少し撓んだ曲線。どこまでも真っすぐな蓋と胴の間のライン。こういうカッコ良さは、茶壺には珍しいけど、無理にカッコ良さを主張しないままでカッコ良いというデザインは、とても現代的にカッコ良い。

何々風、という感じが無い。だからカッコ良い。わざとらしさとか狙いとかが見えないから、野暮ったく見える人もいるかも知れない。でも、こういうのが洗練の極みだと思う。隙だらけの隙の無さというか、塚原卜伝の釜のフタとか、何か分からない人も多そうな喩えだけど、そういうの。

で、その上で、土が良いのだ。いや、実際の土の良し悪しなんか、俺には分からない。ただ、この触り心地の良さはただ事ではない。もうビックリする。しっとりと吸い付くようで、でも、たっぷり空気を通してるような、深呼吸をしているような息遣いが感じられるような、触られると中々離れられない超絶テクニックの性感マッサージ嬢の指先みたいな肌触り。もう、触ってるのか触られてるのかみたいな。

淹れると、その使いやすさに、また驚く。設楽さんの「あれは、とても良くできた道具なんだよ」という言葉は本当だなあと思う。あんまり使いやすいから、実際のお茶の味わいが良いのも、使いやすくて上手く淹れられてしまうからだと思ってしまうけど、実は土のせいかも知れないし、形のせいかもしれないし、本当のところが分からない。そのくらい使いやすい。茶葉の見通しがここまで良いと、本当に失敗する気がしない。

使っていると、やはり、この土はタダモノではないと思えてくる。色もミルクチョコレートみたいな感じになっていくような気がする。そして、お茶は当たり前のように美味しくはいるようになっていくような気がする。今回、注文し損なった人も、次に、この土で作られる茶壺が出るなら是非、と思っていたが、この文革時代の土は、もう今回ので使い切ってしまったそうだ。残念。

そして海風號では漢瓦壺5号が作られつつあって、これが、小振りではあるけど、俺の大好きな形なのだ。これはいいよ、これが手に入る価格なら本気で嬉しいと、何度も設楽さんに言っていた奴だけに、この5号が出来るのが楽しみ。詳細はまた。

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「夏の大茶会2005の海風號」予告編・高級品編

OZONEの夏の大茶会が今年も開催される。OZONEは我が家から自転車で5分なので、仕事の合間でも遊びに行ける嬉しいイベントでもある。その夏の大茶会に、今年も海風號が出店するので、何か、目玉ありますか?と設楽さんに聴いたら、もう、これでもかっ!というくらいに、目玉商品やお買い得情報を教えてもらったので、ざっくりとご紹介。今回、ちょっと凄いよ。

まずは、煎茶道具をまとめて出品するそうで、古くからの設楽さんのコレクションが一挙公開される。これが、ちょっと凄い。まずは、清末の頃に日本からの注文で作られたという、二双の漢瓦壺。
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この写真でも分かる通り、ちょっと平たい形の漢瓦壺で、蓋の把手の部分に「漢瓦壺」と書かれている。これを見てて気がついたのだけど、「漢瓦壺」の「漢瓦」って、この把手の橋みたいなものの形のことのようなのだ。蓋の把手のデザインが、その茶壺のデザイン名になっているのは、良くある話。何だか遅ればせながら気がついた。そう思って見ると、確かにこの煎茶壺の把手は、見事に丸く平たくて、いかにも「漢の瓦」という感じ。なるほどなあ、と思う。それにしても、この煎茶用の漢瓦壺、やけに風格がある。約150cc程度の小さな茶壺で、お茶を淹れやすそうなフォルムと、見たことの無い土のムードの良さが魅力だと思う。セットで30万円。箱付き。かなり欲しい。誰か買ってくれないかと思う。

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次も煎茶道具。これ、いわゆる「萬豊順記」のホンモノである。話には聞くし、写真も見るけど、実物はほとんど見たことがなかった。見ると、なるほどー、と思う。
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作りも土も中国茶壺なのだけど、全体のムードは明らかに日本茶仕様。特に注ぎ口の形と、ボディの膨らみは、とても日本的だと思うのだ。肌合いも、かなり焼いてる感じがあって、高級品のようなムードは無い。もっと普段使いの道具に近く、でも使うのには勇気がいる、というくらいのオーラがある。これ12万円。この二つは、買う買わないは置いておいても、海風號ブースまで見に行く価値はあると思う。

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煎茶器では、他に、図の黒い地に文字が彫られた、大正時代(中国では民国くらい)の日本からの注文品。これが3万円。

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この、裏に「萬風順記」と書かれた、やはり民国くらいの朱泥の煎茶壺が2万円。しかし「萬風順記」という微妙なシャレは好きだ。

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さらに、この平たい朱泥の煎茶壺も民国のもので、裏には「三人太白 林孟臣」の文字がある。中国茶壺風のフォルムと煎茶器らしい土の感じのアンバランスが面白いと思う。これが25000円。

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その他、今回は何でも売るよ、と設楽さんが言っている通り、この茶缶(つーか、これは磁器だけど)とかも売るそうで、これは70000円。錫製で中が金箔貼りの茶缶も売るらしい。これ50000円なのだが、蓋がゆっくりと自重で降りていく感じとか、使い込んだ錫の風合いとか、中の金箔が古くなって、とても良い感じになっていることとか、かなり魅力的。この茶缶は好きだなあ。

その他、どんなものも、大茶会割引で売るので、欲しいものがある人は、電話で問い合わせて欲しいということだ(メールは面倒だから受け付けないということでした)。「あの棚にあった××は、大茶会に持って行きますか?」などと問い合わせてみよう。

で、続いては、海風號の夏の大茶会目玉商品編だー。