「drinkin' cha」の正誤表、その他

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写真は勝又依子さんの我流茶オフショット
我流茶コーナーで小さくしか使われなかったので、ここで。

●単行本「drinkin' cha」は、おかげさまで出足好調なようです。買って下さった方、読んで感想を下さった方、本当にありがとうございます。文章はともかく、インタビュー記事や我流茶コーナーなどの取材ページに関しては、登場していただいた方々が、とても楽しいお話をして下さったのと、俺自身が、もうどんだけインタビュー記事を書いてきたかというくらいキャリアも積んでいるので、かなり面白いページに仕上がっていると思っています。俺の文章が好きでない方も、インタビューは是非読んで欲しいなあと思っています。

●平田公一インタビュー・ディレクターズカット版希望のメールも沢山いただいています。ありがとうございます。原稿はほぼ出来上がっています。出来上がったら平田さんに確認してもらって、すぐに皆さまにお送りします。特に〆切とかはありませんので、読みたくなったら、写真撮って送る、という感じでのんびりお願いします。応募要項をもう一度書いておきますね。

「drinkin'cha」と平田さん監修の「中国茶の本」の二冊と一緒に、今気に入っているモノ(茶器でも文具でも何でも良いです)一つを写真に撮って、その写真と、お名前、テキストファイル送付先のメールアドレスを書いて、notomi☆textlife.net(☆は@に置き換えてね)まで送ってください。あんまり大きな写真だと受信も大変なので、サイズは640x480くらいが嬉しいです。ケータイ写真でもOKです。折り返し、テキストファイルで「平田公一インタビュー・ディレクターズカット版」をお送りします。

●アマゾンでは、最初24時間出荷と出ていたのが、途中で予約受け付け中になり、今は2〜3日で出荷になってて、何だか安定しません。お急ぎの際は、bk1の方が早そうです。こっちも送料は無料ですし。

ドリンキング・チャ
納富 廉邦著
ロコモーションパブリッシング (2006.4)
通常24時間以内に発送します。

●しかし、この「drinkin'cha」ですが、文章や取材に手は抜いてないけど、入稿がバタバタしたせいで、やはり細部にミスが目立ちます。ご指摘下さった方々、ありがとうございます。とりあえず、今分かってる限りの正誤表を書いておきます。

P70
× China Tea Party

○ Chinaty Party

これ、ずーっと全部間違えてます。愛里さん、すみません。確認が甘かったです。というわけで、これは全部、読み替えてもらえると助かります。

P74
2行目
× ウェッジウッドのナチュラルシリーズの

○ ヘレンドの

上段終わりから2行目
× ぴったり納まるヘレンドの白磁の

○ ぴったり納まるウェッジウッド(ナチュラルシリーズ)の白磁の

要するに、ウェッジウッドとヘレンドを取り違えているわけです。白磁の方(写真2)がウェッジウッドで、エース格の「堀内」がヘレンドです。キャプションの方も、そのように読み替えて下さい。青柳さん、すみませんでした。しかし、この茶藝楽園の土モノの茶海はカッコいいです。

P75
× 「I'm thrsy」

○ 「I'm thirsty」

1496さん、すみません。ブログ名のスペルミスです。でも、今見たら元の原稿では合ってるので、どこかで写し間違えたのかも知れません。ありさんにご指摘いただかなかったら気がついていませんでした。ありがとうございます。

P105
一段目終わりから4行目
× China Tea Party

○ Chinaty Party

また、コレです。すみません。

P108〜P110の写真
なんか、とても青かぶりです。すみません。

P144
上段4行目
× China Tea Party

○ Chinaty Party

さらにここも。ほんと、すみません。

P146
下段4行目

×国家茶葉質量検査センター
正確ではないので(日本語訳的な言葉になってる)、後日、きちんと確認して修正します。

P158
8行目
× 碧羅春

○ 碧螺春

変換ミスです。他は間違ってないのに、ここだけ見落としていました。すみません。

直したい部分はまだまだ沢山あるのですが、間違いは、今の所こんな感じです。早く増刷して修正したいなあ。

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単行本「drinkin' cha」目次など

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納富廉邦著「drinkin' cha」
(ロコモーション・パブリッシング、1575円 ISBN4-86212-042-3)

表紙はこれ。撮影は「まめ小路入ル」の恵さん。A5版160ページで、お茶の本としては異様に文字が多いけど、写真も多いので、まあ値段分はあると思う。中にも恵さんの写真は満載。他に、俺とか、うちの奥さんとか、プロのカメラマンさんとか、写真は色んなのが入っていて、著者の俺が見ても面白い。帯は平田さんが書いてくれて、とても嬉しいのだけど、内容は本屋で見てね。

以下、目次
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はじめに

美味しくお茶を飲み続けたいと考えること01

第一章:中国茶スターターキット
    スターターキットのための準備
    茶葉のスターターキット
       茶葉を買うための基礎講座1「お茶にいくら出せますか?」
       茶葉を買うための基礎講座2 良い茶葉、美味い茶葉、悪い茶葉
       茶葉を買うための基礎講座3 お茶の名前を当てにするな
       中国茶と季節のお話
       プーアル茶スターターキット
       発酵と焙煎のこと
       中国茶と蘊蓄の問題
    茶器のスターターキット
       ミニマム茶器の楽しさ
       海風號主人設楽光太郎セレクトの中国茶スターターキット
       AllAbout中国茶ガイド平田公一セレクトの中国茶スターターキット
       お茶ブログ「Drinkin' Cha」納富廉邦セレクトの中国茶スターターキット
    淹れ方のスターターキット
       淹れ方のバリエーション
       大量に飲みたい時のこと
       茶葉の分量と抽出時間の問題
       淹れ方が上手いということの内実

平田公一さんインタビュー
「日本の中国茶事情、それはどういうものだったのだろう」

美味しくお茶を飲み続けたいと考えること02

コラム「お茶と物語」

第二章:我流茶
    茶藝の功罪と我流茶の楽しみ
    それぞれの我流茶
       設楽光太郎さんの我流茶
       野溝智子さん(海風號)の我流茶
       勝又依子さんの我流茶
       神崎奈緒さん(遊茶)の我流茶
       佐藤恵美さん(遊茶)の我流茶
       愛里さんの我流茶
       前田千香子さん(しゃおしゃん)の我流茶
       渡邊かをるさんの我流茶
       青柳敬子さんの我流茶
       1496さんの我流茶
       松山猛さんの我流茶
       恵さんの我流茶
       納富廉邦の我流茶

設楽光太郎さんインタビュー
「海風號主人による『モノの見方』入門」

美味しくお茶を飲み続けたいと考えること03

第三章:お茶小物王
    茶杯の色々
    茶壷の色々

しゃおしゃん前田千香子さんインタビュー
「鉄瓶vsステンレス湯沸かし対決茶会」

    外で飲むための道具
    お茶小物王への道

コラム「電子レンジでキーマンミルクティー」

美味しくお茶を飲み続けたいと考えること03

バンブー茶館かめきちさんインタビュー
「美味しいお茶とは、どういうお茶なのか?」

第四章:drinkin' cha
    冷茶研究
    焙じ茶・レモンティー・柚子茶
    ブレンド・ジュース・ペットボトル

愛里さんインタビュー
「お茶を審査すること、評価すること、楽しむこと」

    お茶請け考

コラム「お茶ソングリスト」

あとがきにかえて
「お茶を美味しいと思って飲めるということ」
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こんな本になってます。取材に協力して下さった方々へは、そろそろ本が届いていると思います。書店には、今週中に並ぶと思いますので、是非、手に取ってみていただけると嬉しいです。

で、この中の、平田さんのインタビューが、面白すぎて実際に書いた原稿が長くなってしまい、掲載できたのは当初の半分くらいになってしまいました。その原稿ももったいないので、読者プレゼントにしようと思います。ということで、私の「drinkin' cha」と、最近改訂版が出た平田さん監修の「中国茶の本」の両方を持っている方で、読んで見たいと思われる方に、「平田公一インタビュー・ディレクターズカット版」のテキストをお送りしようと思います。

「平田公一インタビュー・ディレクターズカット版」ご希望の方は、「drinkin'cha」「中国茶の本」の二冊と一緒に、今気に入っているモノ(茶器でも文具でも何でも良いです)一つを写真に撮って、私まで送って下さい。あんまり大きな写真だと受信も大変なので、サイズは640×480くらいが嬉しいです。ケータイ写真でもOKです。写真と、お名前、テキストファイル送付先のメールアドレスを書いて、notomi☆textlife.net(☆は@に置き換えてね)まで送ってください。折り返し、テキストファイルで「平田公一インタビュー・ディレクターズカット版」をお送りします。

あと、アマゾンでも既に買えるようですが、品切れっぽいです。増刷してくれ。

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Making of 「やかんの本」

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やかんは、とても身近なモノではあるけれど、流石に60個以上の、それぞれに個性あるやかんを詳細に見る機会というのは滅多にない。そんなやかんの本が出る。多分、世界初。

この本の企画とテキスト、編集の一部に携わって、今、本の製作は進行中。その最初は、俺のお茶の本の打ち合せだった。海風號で打ち合せしている時に、ふと編集者の目に留まったやかんの群れ。で、やかんの面白さを設楽さんもまじえて話している内に、やかんの本を作ろうかという話になった。

それはいいのだけれど、出版社が新しいのでインパクトがある本を先にラインアップとして揃えたいという話になって、結局、やかんの本を先に作る事になってしまった。つまり、この本の売り上げ次第では、俺のお茶の本は無くなるかもしんないわけで、何だか微妙にピンチなのだけど、やかんの本が出る事自体は、とても嬉しいことなのだった。

決まると、後は早かった。設楽さんが、麻布やかん組合会長の渡邊かをるさんに連絡を取り、俺と編集さんで企画書を作り、とんとんと話は進んで、渡邊かをるさんがアートディレクションも行う事になった。カメラマンもブツ撮りの超一流の方に決まった。

渡邊かをるさんのオフィスで打ち合せをして、そのままビギの社長室とかに預けてあるやかんを取りに行き、海風號でセレクション。撮影は丸二日かけて行われたのだが、実はその前に、カメラマンさんの手元には練習用のやかんが届けてあり、やかん撮影専用台などが作られていたのだった。

渡邊かをるさんが、やかんの角度を決め、カメラマンさんが撮影したら、そのプリントに設楽さんと俺がデータを書き込んでいく。設楽さんによるやかんの年代判定、国籍の割り出しなどを間近で見ていると、いつの間にかやかんの知識が蓄積される。撮影状況も面白いし、設楽さん、渡邊さんのやかん談義も面白い。睡眠不足でフラフラしつつも、朝10時30分から、よる8時に至る撮影大会は、とても面白い体験でもあった。本気で疲れたけど。

その面白さを本にも収録したかったので、設楽さん、渡邊さんにお願いして、やかんに関するお二人の対談を掲載する事にした。表紙のアイディアも出来上がり、撮影したやかんの付属データなどの整理も完了し、海風號で対談を行う。司会は俺。

当たり前だが、これだけ緊張したのは、ちばてつやインタビューに大幅に遅刻して行った時以来だった。それでも、お二人の見事なトークで、2時間30分程度の対談が終了。撮影中に喋っていた様々なネタが整理されて対談としてまとまった。9000文字のやかん談義。これがまた、本当に面白い。

渡邊かをるさんによるレイアウトも上がり、俺の対談原稿も上がり、今、校正中でゲラを見ている。良くできた本だと思う。俺が、本の作成中に見聞きして知ったやかんに関する様々な事は、全部、この本の中に入ったと思う。何より、その質感をそのまま写し取った写真の素晴らしさで、見れば分かるやかんの本になっている。だから、これを読めば、麻布やかん組合の会長・副会長と一緒にやかんを楽しむことが出来るのだ。

多分、11月の中旬までには出ると思う。出たら、またここで書評みたいなのを書くと思うけど、とりあえず、出たら皆さん買ってください。これが売れると、俺のお茶の本も出ます。

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中国茶の本を作ることを考える

今、中国茶を中心にしたお茶についての本を書く方向で、某出版社と動いている。ムックとかでなくて、俺が書く単行本になるようだ。で、その内容とか目次とか作らなければならなかったので、色々考えた。元々、いくつかの出版社や編集者を渡り歩いては、評判だけ良くて、営業サイドでボツになるという中国茶本の企画書&内容見本は前に作ってあったのだけど、それは、ややムック的な色合いを強くしたもの。

で、今回は、もう少しボリュームを減らして、デザインやグッズの本程度の規模でやりたいという話だったため、それに合わせて内容をコンパクトにする必要があった。また、前の本を企画したのは、もう2年前で、その間に俺もさらに3冊くらい単行本を出しているので、本の作り方についても色々新しく考えていた。さらに、編集者から出た「我流茶」というキーワードが面白かったので、そのテイストを入れながら、内容を作っていった。

その時に俺が考えていたのは、基本的な知識や情報は、平田さんが監修した「中国茶の本」に全面的に任せるということ。あの本に書かれていることは基本的に外す。あと、教科書的なテイストや、シノワズリ的なムード、中国や台湾の産地の情報、といったあたりも全部カットすることにした。スイーツのレシピも、正しい工夫茶の手順も、聞香杯も取り上げない。

さあ、ここまでして中国茶の本が書けるのは俺くらいではないかと(笑)。そういう形にしてから、おもむろに細かい内容を詰めていく。内容が決まると、本の形が見えてくる。B5版96ページ(か112ページ)ってとこか。反面教師的な本は山ほどある。参考にしたい本も山ほどある。単行本作りの一番楽しい部分は、この内容決めと全体の仕掛けを考えるところ。それを著者にやらせてくれる出版社はあり難い。

取材は多くなる。平田さん、設楽さん、Andyさん、1496さん、勝又さん、mud_hutter君あたりは、既にお願いしてある。恵さんの写真で行くことになりそうな方向なのだが、それは本人に知らせていない。全体的に手作り感が漂うなあ。まあ、一人で書くのだからしょうがない。驚くほど腰の低い本になる予定。

ということで、出版が決定したら色んな人に取材やアンケートをお願いすることになると思いますので、その時は逃げずに付き合ってやってください。何せ「我流茶」ですから、色んな人の「我流」を描きたいのです。で、そんなことを考えつつ、本の内容を決めていて気がついた。俺は、誰がどんなお茶をどんな風に飲んで、どんな気持ちになるのかが、とにかく知りたいのだなあと。お茶については、何より、個人の主観と思い入れが聞きたいのだ。後は飲むだけだし。

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お茶を飲みながら読む本を考える その一

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論創ミステリ叢書7「松本恵子探偵小説選」(論創社、2500円)

 お茶を飲みながら本を読む、なんてシチュエーションは俺にとってあまりに日常的過ぎて、改めて考えることもなかったのだけど、気がつくと、明らかに選んでいるような気がしたのだった。まあ、俺にとって本を読むというのは、何もしていないと同義というか、例えばお湯が沸く間から始まって、PCが立ち上がる間、電話中に相手から「ちょっと待ってて」と言われて待ってる間、出かける前に靴を履いて、息子が靴を履き終わるのを待ってる間などなど、基本的に、他のことをしていない時=本を読んでいる時、なので、本を読みながらお茶を飲む、という場合、その本は何でもアリではある。

 でも、お茶を飲みながら本を読もう、と思った時はちょっと違う。本は、それこそ常に平行して数冊読んでいるけれど、「さ、お茶を淹れて、ゆっくり本を読もう」と思った時は、その現在進行形の数冊ではない本を選ぶことが多いのだった。多分、この時の「ゆっくり本を読もう」というのが、俺にとっての日常の読書とは別物なのだろう。大体、普段「ゆっくり本を読もう」なんて思ったことはない。もちろん「急いで本を読もう」と思ったこともない、というか、本は普通に読むだけだ。ほとんど呼吸と同じ。普段は。

スウィングガールズ
矢口史靖著
 なので、「さ、お茶を淹れて、ゆっくり本を読もう」と思った時に読む本は、「ゆっくり」読める本に限られるのだと思う。例えば、昨日買って、その日の内に(というか、ほぼ一瞬で)読み終わった矢口史靖著「スウィングガールズ」(メディアファクトリー、1000円)のような、メチャクチャ面白いけど、あんまり面白くて本が手放せなくて、そのまま一気に最後まで読む方が、とぎれとぎれに読むより絶対面白く読めるというタイプの物語は、「ゆっくり」なんて読んでいられない。

 同じく昨日買った、論創ミステリ叢書7「松本恵子探偵小説選」(論創社、2500円)は、読んでいると、無性に美味しいお茶を用意して、ゆっくりと読み進めたくなるような本だった。日本初の女性探偵小説作家の初めての作品集ということもあるし、大正時代の終わりから昭和の初めにかけて書かれた探偵小説の、モダンでユーモアに富んだムードが、スピード感よりもゆとりを要求したということかも知れない。もっと言えば、昔の小説にはお茶が似合うとか、そういうことかも知れない。

 が、同じく昨日買った、夢枕獏著「沙門空海唐の国にて鬼と宴す 巻ノ三」(徳間書店、1800円)がまた、お茶を飲みながら読もうかと思わせるのだ。巻ノ一と二は、東京→札幌→東京→佐賀という一拍二日の移動の間に読んだので、決してスピード感の無い話ではないのだけど、酒飲みながら会話するシーンが多いせいか、お茶セットとか目の前に置いて読みたい本だったりする。書かれたのは現代だが舞台が唐の時代の話だからかもしれない。といいながら、もう読み終わりそうなので、結局お茶飲みながらは実現していないのだが。

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小説の中のお茶 01

 お茶をテーマにした小説というのは、あまり読んだことがないけど、お茶が出てくる小説は多い。で、そこに好きなお茶が出てくると嬉しくなったりする。
 織田裕二主演で映画にもなった井上尚登著「T.R.Y.」(角川文庫、686円)は、明治末期の中国と日本を舞台にした冒険小説だが、その中に、龍井茶が大好きで持ち歩いている工作員が出てくる。「烏龍茶は発酵させ過ぎててダメだ」とかいうセリフもあったと思う。
 小説そのものは、俺的には普通に読んで普通に楽しんだ程度で、特に面白くなかったけど、でも、龍井茶が出てくるだけで何か嬉しかった。

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 もっと細かい話になるが、テリー・ビッスン著「ふたりジャネット」(翻訳:中村融、河出書房新社、1900円)という、凄く面白い短編集の中の「英国航行中」という作品の中に

「助かったよ」とあくる日、フォックス氏はアンソニーに冗談をいった。「オールデンシールド夫人がヒーチュンをたっぷり仕入れておいてくれて」
 これはフォックス氏の好きな緑茶の銘柄である。

 という件があって、これがまた嬉しかった。イギリスが島ごと航海を始めるという異常事態を背景に、孤独な老人の淡々とした生活をイギリス文学風に描くという、凄くヘンでチャーミングな短編の中で、主人公が好むのが中国緑茶だというのが、凄く良い描写だなあと思ったのだ。
 ヒーチュンというお茶は知らない。最初ピーローチュン(碧螺春)のことかと思ったのだけど、どうもヒーチュン(煕春)という中国緑茶は普通にあるらしい。飲んでみたいと思う。
 この「ふたりジャネット」という短編集は、他にも、熊が火を発見する話とか、おかしな ATMを巡る落語みたいな話とか、変な数式で事件を解決する万能中国人のシリーズとか入っていて、お茶とは関係なく面白くてオススメ。

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 あと、最近読んだ本では、柄刀一著「シクラメンと、見えない密室」(実業之日本社ジョイノベルズ、838円)が、中国茶じゃないけど、花とハーブティーを上手く使って見事に本格ミステリを構築した連作短編集として、ちょっと凄かった。

 全然、関係ないけど、劇団☆新感線の公演「レッツゴー忍法帖」(2004年2月、於サンシャイン劇場)のパンフレットを読んでいたら、看板女優の高田聖子さんが台湾茶にはまっているというインタビューが載っていた。どうも奇古堂茶器を買ったみたい。

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「新訂 中国茶の魅力」は何故良い本なのか

著者:谷本陽蔵
書名:新訂 中国茶の魅力
出版社:柴田書店
価格:3800円(税別)
ISBN:4-388-35207-1

 日本語による中国茶の本の中ではバイブルと呼ばれている本だそうで、海風號主人、設楽さんも「唯一、ちゃんとした中国茶の本だ」と言っていたのが、この谷本陽蔵著「中国茶の魅力」(しかし現在、版元品切れらしい)。で、読んでみたら、確かに良く出来た、良い本だった。一言で言えば、中国茶の基礎知識に関する集大成+お茶の本のお手本。歴史、茶葉の種類、製茶の方法、といった、どの本にも書かれているような内容も、この本が最も詳しい上に、それらの知識的な情報に加え、それについての谷本氏による考察がしっかりと書き込まれているのが、この本の面白さであり、他の中国茶本に徹底して欠けている部分だと思う。
 中国茶を、きちんと日本人の味覚とお茶の楽しみ方を前提にした視点で見て、紹介、考察する。そのへんが、お茶屋さんが書いた本ならではの面白さ。お茶に向き合っている自分の立ち位置がハッキリしているから、考察にも説得力がある。茶壷などの茶器に関する部分も、デザインの変遷から歴史を語り、陳曼生のデザインを図版で紹介するなど、初心者が見たいと思うデータのツボを外さない。入門書が、入門書であることにこだわり過ぎて見落とすデータがきちんと拾われているのは、中国茶に対する自分のスタンスがしっかりしているからだと思う。
 情報に対して、自分のスタンスを提示するのは、本を書く上での最低限の礼儀だと思うのだ。それが、ちゃんと出来ているのが、この本くらいだというのが現時点での中国茶本の哀しいところだろう。お茶を取り巻く周辺に関しては自分の趣味を押し出した本を作るのに、肝心のお茶の味や淹れ方、お茶との向き合い方に関しては自分の立場や意見を言及しない本ばかりなのが現状。
 実際、書籍とかサイトとかでは、お茶の味とか、茶器の良し悪しについて何か言うのは勇気がいることだし、「好みだから」と逃げる場合が多い。味なんか言葉で表現すること自体が難しいから、「花のような香り」とか「いつまでも続く余韻」などの、具体性に欠ける通り一遍の表現になりがち。茶芸がクローズアップされるのも、そのへんに原因があるのではないかと思うのだ。
 この本の谷本氏は、自分にとっての良し悪しをきちんと述べながら情報を提示していく。それが、この本が「良い」理由なのだと思う。嗜好品の世界では、主観が入らない情報なんて意味が無いのだ。

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有本香著「中国茶・台湾茶」をめぐって

著者:有本香
書名:お茶の愉楽 中国茶・台湾茶
出版社:池田書店
価格:1200円(税別)
ISBN:4-262-12850-4

 著者の有本香さんが少し前に出した「中国茶 香りの万華鏡」(小学館文庫、733円)は、従来の単に中国茶の知識を羅列するタイプの入門書ではなく、体験をベースにした情報入りコラムを積み重ねるというスタイルで、その編集者的視点に感心した記憶がある。この人の編集で俺が書いたらもっと面白いのにとか、そういう事も考えた。何か、女性が書いた中国茶の本が、どれも編集者的に作られすぎている感じもあって、そういうことを考えたのだと思う。
 で、その著者の新刊ということで、今度はどういう仕掛けなんだろうと期待して読んだのだが、うーん、どうなんだろう。作り手としてみた場合、本としての面白さ、工夫のされ方は、明らかに「中国茶 香りの万華鏡」の方が上だと思う。ページ数も誌面も限られていて、その制約の中で要素をカットしていく手際の潔さが何より面白かった。読者としても、情報が凝縮されていて、他の本との重複も少なく、内容に賛同できるかどうかはともかく、有本香という人の本になっていたので、読む楽しさがあった。今回の本は、それを薄めて、広げて、他の本との重複を増やしただけのようにも見える。中国茶の本は、この本だけ読むという場合には、こういう作り方も有りだとは思うのだけど、基本が体験ベースのエッセイ文体だけに、そこに基礎知識的な要素を増やすと、妙に押し付けがましい本になるのだ。しかも、無駄が多いように見えてしまう。
 この本の場合、自分ならではのお茶の飲み方を紹介しているP138~P139の見開きのような内容で一冊書かれていたら、どれだけ面白かっただろうと思うのだ。言ってしまえば、他にも中国茶の本を持っているなら、この2ページを立ち読みして、後は文庫の「中国茶 香りの万華鏡」でOK。今回の本は、あまりにも、有能な編集者が企画書先行で作った感じが強すぎる。前にも、どっかで書いたけど、ライターは別に立てて、編集に回ってこそ良い仕事が出来るのではないかと思う。何だか、才能の無駄遣いみたいで凄く残念だ。

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