追分羊かん本舗の「追分羊かん」

追分羊かん本舗「追分羊かん」、300g、840円
俺の実家のあたりは、小城羊羹というのが当たり前のご贈答品としてあって、虎屋の羊羹でさえ喜ばれもしないという、羊羹飽和地帯なのだ。もちろん嫌いじゃないのだけれど、子供の頃から羊羹だけは何故かいつでも家にあって、お菓子が食べたい時の最後の砦というか、何もないからしょうがなく羊羹を食べようみたいな感じで、しかし、その羊羹が、ちゃんと上質で美味い奴だから、羊羹そのものの価値が極端なインフレを起している感じ。カステラも同じ感じだったなあ。
ということで、羊羹に対して無闇に舌が肥えている上に食べ飽きている俺なのだけど、この間、某古い友人から、実家の近所の名物だといってお土産に頂いた「追分羊かん」を食べたら、これがちょっと感動してしまったのだった。今更羊羹で感動するとは思わずにビックリしたけど、ほんと美味かった。お茶は海風號の碧螺春(売り切れたみたい)で、もうベストマッチ。餡こには緑茶という組合せの頂点近く、九合目くらい。

静岡県は清水の名物で、ちびまる子ちゃんにも登場したらしい。しかし、静岡県というのは新幹線の駅が9つもあるという、横に長い土地なので、他の静岡出身の友人に聞いたけど、その人は知らなかった。俺も知らなかったし、清水出身の春風亭昇太師匠の落語にも出てきたことはないのだけど、どのくらい有名なものなのだろう。知らなかった俺は世間知らずというくらいのものなのか。
ともあれ、美味いのだ。竹の皮に包まれた、何だか平べったい羊羹。その竹の香りが良くて、少しもっちりした食感が心地よくて、甘さは控えめだけど、羊羹らしい味わいはむしろ濃くて、結構、量が食べられる。羊羹なのに。まあ、地元で食べ飽きてたのは練羊羹で、これは蒸し羊羹だというのが大きい。栗蒸羊羹の羊羹部分だけあればいいのにと思ってたことを思い出す。そうか、俺は蒸し羊羹が好きなのか。あ、水羊羹も好きだな。
で、追分羊かんと碧螺春の組合せで、だらだらと午後を過ごす。お茶もお菓子もほんのり甘くて、違う甘さは交互にやってきて、どっちも切れが良いというか、甘さがゆっくりとフェードアウトしていくなあと思ったら、しゅっと後半凄い速さで消えて(三次曲線的なカーブと言えば分かりやすいでしょうか)、後には、美味しい水を飲んだ後のような感じが残る。そう言えば、餡こもお茶も、美味しい奴には決まって、この「美味しい水のような後味」が残る気がする。で、その感じがするお菓子と緑茶の組合せから来る後味が、とても好きで、だから、緑茶に餡こが好きなんだなあと自覚。
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