赤い蝋燭と冷茶
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日本画家池永康晟さんの絵は、お茶よりも、酒の方が似合うのだけど、い
ずれにしても、絵と俺の間に、何かがある方が、絵の魅力が際立つように
思う。つまりは、お茶請けとか酒の肴になることが出来る絵で、部屋に置
いておけば、そこに描かれた女の子と酒が飲めるような気分になれる、実
用品でもある。
気分をドキュメントとして記録するのは、絵画の特質の一つで、でもそれ
を意識的に行うのは案外ハードで、しかも、それに普遍性と娯楽性も持た
せようという作業は、とても面倒で、でも当たり前のように、その作業を
行う人の事を画家と呼ぶのだなあと、池永さんの絵を見ると思う。
ギャラリーアートもりもとで淹れてもらうお茶はレベルが高い。美味いお
茶をいただきながら、ぼーっと池永さんの絵を眺めていられた、この何日
かは、とても気持ちが良かった。悲しいことが多かった、5月だけ
ど。
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雨の海風號は好きだ。初めてこの店を訪ねた日が雨だったからかも知れない。あの日も緑茶が入荷した五月の終わりだった。そのせいか雨と龍井も俺の中では、とても近い。
雨の音と、暑いんだか寒いんだかの、梅雨前の空気は、グラスの中のぐちゃぐちゃした茶葉と、思いの外爽やかな緑茶の風味を、ねっとりとコーティングして、だらっと飲むリズムを作ってくれる。
30g、1500円と格安の今年の海風號の龍井は、そんなだらだらした時間によく似合って、いつまでもお湯を足しながら、ぼーっとしていられる。甘みよりも、スッキリした喉越しと、お茶らしい風味の強さで飲ませる。普段飲みというより、ぼんやりしたいときのお供に、とても合っていて。
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懐中雑誌ぱなしの表紙を毎月見事に飾ってくれている日本画家、池永康晟さんの個展に行った。松屋銀座の裏手にあるギャラリーアートもりもとは、入りやすいモダンなギャラリーで、とても居心地が良い。歯車のマスター濱本さんの差し入れの和菓子と一緒に美味しい日本茶をいただく。
ちゃんとデザインされた茶杯が使われていて、丁寧に淹れられたお茶は画廊のレベルの高さを感じさせてくれた。やっぱ画廊で紙コップにペットボトル茶は違うだろうと思うのだ。せっかくの良い絵は、出来れば美味いお
茶と一緒に楽しみたいと思う。
帰りに、松屋銀座の茶の葉で新茶を飲んだ。在来種の生茶。火を入れていない茶葉は、ねっとりと濃厚で荒々しくて、一煎一煎、味わいが違う。自分で茶缶から茶葉を急須に入れる所からやらせて貰えるので、茶葉の量か
ら抽出時間まで好きにできるのが有難い。個人的には、やや茶葉多めで、しっかり淹れた時の味が好きだった。後味の甘味が愛子さんの碧螺春にも少し似ていた。
そう言えば海風號に美味い龍井が入ったらしい。飲みに行きたい。明日あたり行けそうかも。
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